2016/03/28
こちらのお客様のお宅には、ご先祖さまから受け継がれてきた「系図の走り書き」のようなものが残されていました。
この「走り書き」によれば、明治初期の当主は「吉太郎」のはずなのですが、戸籍類のどこを調べても「吉太郎」という名前が出てきません。
(明治初期の人物は、すべて戸籍類で把握できていたにも関わらずです。)
そしてその一方、戸籍上の明治初期の当主の名前は「伊助」となっておりました。
その旨をお客様にご報告申し上げたところ、「伊助という名前は初耳だ」とのことでした。
系図上の「脇役」の名前が見当たらないというのならばまだしも、中心人物である当主の名前が戸籍上に見当たらないというのは、どう考えてもおかしい。
もっと言えば、「系図の走り書き」という史料があるにも関わらず、それに実際の当主であったはずの「伊助」の名前がどこにも記載されていないこともおかしい。
考えられるいくつかの可能性をお客様にお伝えし、お客様にもいろいろとご協力を頂いた結果、最終的に真実が解明いたしました。
真実はこうでした。
その、明治時代初期の当主の方は、生まれた時の名前は「伊助」でした。
しかし幼少期に病弱だったため、名前を「吉之助」と変えていたのでした。
昔の戸籍類ではよく、「名前を変えた」旨の記述を見かけますので、「名前を変える」こと自体は比較的頻繁に行われていたものと思いますが、場合によってはそれを届出していないこともあり、そういった場合には、「公式記録である戸籍類」には記録されていないことになります。
もともと「80年」が「150年」に延長されたのは、「相続などで身元をたぐって行く際に戸籍類が必要だけれども、平均寿命が延びているので、保存期間が80年では短すぎる」ということが背景にありました。
そう考えると、この「150年」が「200年」などに再延長される見込みがあるんだろうか?とも思います。
記録を削除するのは簡単ですが、一度削除されてしまえば、もう調べること自体が不可能になってしまうかもしれません。
*複雑な出来事を簡潔に表現するため、出来事の一部を省略・編集している場合がございます。
*登場する人物名や地名は、架空のものに変更してあります。
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